【2026年10月10日版】AIで情報漏洩は防げる?カスハラ防止の義務化・保険料調整制度・特定金属くず特例ほか今週のニュース
この記事の結論(30秒で分かる要約)
今週の大きなニュースの一つは、個人情報の漏洩が相次いでいることです。日本経済新聞は、9月からの約1か月で、世界で延べ3億人を超える個人情報の漏洩が公表されたと報じました。AIが悪用された可能性も指摘されていますが、AIの利用を直接示す痕跡は確認されていないという報告もあり、現時点では「可能性」の段階です。守る側もAIを「点検役」に使えますが、最後に判断するのは人で、パスワードや鍵、お客様の個人情報はAIに見せないことが大切です。
そのほか、10月1日からは、カスタマーハラスメント(カスハラ)の防止措置が事業主の義務になり、短時間労働者の社会保険料の負担を支える「保険料調整制度」も始まりました。消費税では、金属くずの買取りに関する「特定金属くず特例」の帳簿の記載事項が確認できます。経費精算のAIでは、1枚の領収書に複数の税率が混ざっていても、明細を分けて伝票を作る機能が使えるようになりました。
---
🎬 今週のピックアップ:AIで守る情報管理と見直しを動画で解説
今週のニュースのうち、AIと情報漏洩の話を動画で詳しく解説しました。四国めたんが分かりやすくポイントを解説し、ずんだもんが「視聴者が言いそうな疑問」を先に聞いてくれる形です。
👇 解説動画の視聴はこちら(YouTube)
---
## Q. 個人情報の漏洩が相次いでいますが、AIが原因なのですか?
A. AIが悪用された「可能性」が指摘されていますが、現時点では確認された事実ではありません。
日本経済新聞(2026年10月8日)によると、9月からの約1か月で、10万人以上の個人情報の漏洩が公表された事案を集計すると、世界で延べ3億人を超えます。NHK(10月6日)は、セキュリティ会社の見方として、AIが悪用されている可能性が高いと伝えています。
一方、セキュリティ会社のCSクラウドは、2026年9月18日から10月8日にかけて、約40分間に326のIPアドレスから1,200件を超えるアクセスを観測しました。返ってきた反応を見ながら次の手を変えているような動きでしたが、「AIの利用を直接示す痕跡は確認していない」と、観測した会社自身が書いています。
つまり、「AIが攻撃した」と言い切れる段階ではなく、「AIが使われた可能性がある」と受け止めるのが正確です。
▶ 動画で解説しています:[動画URL:入稿後にここへ差し込み]
## Q. 「昨日まで大丈夫だったものが、今日から危険になる」とは、どういうことですか?
A. 何も変えていなくても、欠陥が見つかって公表された時点で、危険な状態になるということです。
例として、2026年7月17日に、ホームページ作成で広く使われるWordPressの重大な欠陥の修正版(7.0.2)が緊急で公開されました。WordPress.orgの発表では、最も重大な区分の欠陥(REST APIの処理の混同とSQLインジェクションによる遠隔からのコード実行)と、高い区分の欠陥の2つが修正されました。影響の大きさから、公式は対象のサイトに強制的な自動更新を有効にしました。
ただし、ITmediaは、更新を止めたままのサイトや、誰も管理していないサイトは、自動更新があっても直らない場合があると指摘しています。マイクロソフトの月例更新でも、少なくとも今年の1月、2月、6月、8月、9月に、すでに悪用が確認された欠陥が含まれていました(ScanNetSecurityの報道による)。一度整えて終わりではなく、定期的な見直しが欠かせません。
## Q. AIを使って、自社の情報管理を見直せますか?
A. 設定やルールを書いたファイルをAIに読ませて「点検役」にできます。ただし、最後に判断するのは人です。
設定ファイルは何百行にもなることがあり、人がすべて読み比べるのは大変です。AIに「許可の範囲が広すぎないか」「更新が止まっていないか」を洗い出させると、見落としを減らせます。当事務所でも、自社で作ったクラウドアプリの設定をAIと一緒に見直しています。
注意点は次の4つです。
- AIの指摘には、間違いも混じります。理由と該当の場所を確認し、直す前に動作を試します
- パスワード、鍵、お客様の個人情報は、AIに貼り付けません
- お使いのAIの設定で、入力が学習に使われないかを確認します
- 簡単に使える仕組みほど守りは弱くなりがちです。預かるデータの重さに合わせて、守りを変えます
税理士には、税理士法第38条で、業務で知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならない義務があり、第41条の2で、使用人などを監督する義務も定められています。ただし、法律が情報セキュリティの具体的な方法まで決めているわけではないので、状況に合わせて自分たちで見直すことになります。
▶ 動画で解説しています:[動画URL:入稿後にここへ差し込み]
## Q. カスタマーハラスメントの防止措置が義務になったと聞きました。何をすればよいですか?
A. 2026年10月1日から、事業主の義務になりました。厚生労働省の指針で、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応などが求められます。
厚生労働省の案内によると、事業主が講じる措置は、①方針の明確化とその周知・啓発、②相談体制の整備、③事後の迅速かつ適切な対応、④カスハラの抑止のための措置、⑤プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止、です。カスハラとは、顧客等の言動であって、業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるもの、とされています。
対象となる企業の範囲や、守らなかった場合の行政の対応は、厚生労働省の指針とリーフレットで確認してください。なお、労務の取扱いは社会保険労務士の専門分野です。具体的な規程づくりは、顧問の社会保険労務士にご相談ください。
## Q. 短時間労働者の社会保険料を軽くする「保険料調整制度」とは何ですか?
A. 2026年10月から、新たに社会保険の加入対象になる短時間労働者の保険料負担を、通算3年間軽くする制度です。事業主が追加で負担した分は、後で差し引かれます。
日本年金機構によると、対象は、2026年10月以降に任意特定適用事業所となった事業所などで、従業員50人以下の事業所が該当します。対象の被保険者は、標準報酬月額が12.6万円以下の短時間労働者です。
申出をした月から通算3年間、1〜2年目は被保険者の負担が25〜48%(事業主75〜52%、標準報酬月額によって6段階)、3年目はその約半分に軽減されます。事業主が追加で負担した分は、いったん納付した後に、3か月後の保険料額から差し引かれるため、最終的に事業主が納付する保険料は増えません。ただし、納付期限を過ぎた場合は、還付の対象になりません。利用するには、「保険料調整開始申出書」を、申出期限内に提出します。
## Q. 金属くずを買い取る事業者の消費税で、何が変わりましたか?
A. 届出をした特定金属くず買受業者が、適格請求書発行事業者でない相手から棚卸資産として特定金属くずを買い取る場合、一定の事項を書いた帳簿だけの保存で仕入税額控除が認められます(令和8年9月1日以後の取引)。
国税庁のQ&Aによると、帳簿に書く事項は、課税仕入れの相手方の氏名又は名称と住所又は所在地、仕入れの年月日、仕入れた資産の内容、支払った対価の額、そして「帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる仕入れに該当する旨」です。相手方の本人確認を行い、本人確認記録を帳簿の保存期間(確定申告書の提出期限の翌日から7年間)保存する場合は、相手方の氏名・住所の記載があるものとして取り扱えます。
対象は、特定金属くず買受業の届出をしている事業者に限られます。該当する会社は、帳簿の記載を点検してください。
## Q. 経費精算のAIで、複数の税率が混ざった領収書は処理できますか?
A. ラクスの「楽楽精算」の「伝票作成AIエージェント」が、2026年9月17日から、1枚の領収書に複数の金額があっても、AIがそれぞれの金額を読み取り、明細を分けて伝票を自動作成できるようになりました。
ラクスの発表(2026年9月14日)によると、軽減税率と標準税率が混在する飲食店の領収書などに対応します。同じ更新で、9月15日からPC版の提供も始まり、ユーザー単位で利用を制御できるため、特定の部門から段階的に導入できます。なお、複数金額の領収書とクレジットカード利用明細の自動の紐付けは、今回の更新の対象外です。
AIが作った伝票は、金額・税率・科目を、最後に人が確認する運用がおすすめです。
---
## まとめ
* 情報漏洩は相次いでいる(日経:9月からの約1か月で世界で延べ3億人超)。AIの関与は「可能性」の段階で、確認された事実ではない。
* 昨日まで大丈夫だったものが、発表ひとつで危険に変わる。更新を止めたままにせず、定期的に見直す。見直しにはAIを「点検役」に使えるが、最後は人が判断し、パスワード・鍵・個人情報はAIに見せない。
* 10月1日からカスハラ防止措置が事業主の義務に。保険料調整制度も開始。金属くずの特例は帳簿の記載事項を確認。経費精算のAIは複数税率の領収書に対応。
ホームページや社内システムの見直し、DXのご相談は、無料相談からどうぞ → https://ohara-zama.jp/contact/ 税理士・行政書士小原司事務所/株式会社オハラ・マネジメント・システムズ(神奈川県座間市)

